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2001/03/18 ワナに引っかかった。
この日も特に予定はなかったように思う。何もないので当然早起きする必要はないのだが,寄宿舎の掲示板に貼ってある週間食堂メニューの朝食のメニュー欄の「一番上に,そして一番大きな文字で」「ホットケーキ」と書いてあったので,どんなものだかぜひ賞味したくてわざわざ早起きしてみた。食堂の朝食はだいたいが韓食で,しかも他の食堂と競争しなければならない昼食・夕食と較べてグレードが低いのだ。
当然,「一番上に,そして一番大きな文字で」書かれていた「ホットケーキ」が主食であろうと考えていたのだが,僕の期待は見事に裏切られた。
メニューは「ごはん(えぇっ!)」「ジャガイモのコンムル(薄いスープみたいなものです)」「リンゴとジャガイモをバナナヨーグルトで和えたサラダ」「キムチ(笑)」そして「イチゴの色はするけど味はしないジャムがかかったちっこいホットケーキ」と「牛乳」。何とおかずになるものがキムチだけという惨憺たるメニューであった。ホットケーキで学生を集めようという食堂のあくどい戦略(?)にまんまと朝からひっかかってしまったわけだ。
午後からはソウル大の「中央図書館」へ。僕はまだ学生証が発行されていないため本の貸し出しを受けることはできない(特別受講証というシロモノはあるので入ることはできる)ため,すでに学生証を持っているS君と一緒に行く。借りたい本があったら名義を借りる作戦だ。結局,「情報社会論」のレポート執筆に必要な本は「社会科学図書館」にあることが判明。S君も必要な文献はソウル大になかったもよう。「なんでこんな有名な論文がソウル大にないんだ」と少々お怒りのご様子であった。
しかたがないので,その後は寄宿舎で,明日提出しなければいけないレポート(韓国語演習)を執筆し,日本に提出しなければいけない論文(去年末に韓国であったシンポジウム関連)の文献を読んで過ごす。
2001/03/19 教養学校第2回→飲み会。
だんだん語学堂と普通の授業の双方が忙しくなってきた。日本に提出しなければならないレポートも残っているし,先の「情報社会学」の課題である,レポート用紙10枚程度(!)という書評(韓国語か英語)の提出も来週に迫っている。さすがに授業が終わったあとはすんなり寄宿舎に帰りたかった。
しかし,そういうわけにはいかなかった。今日は第2回の教養学校の日なのだ。こっそり帰ろうとしたが学科のメンバーに見つかってしまい,参加することになった。えぇい,参加するとなったら,今日は最後まで残ってやろう,と決意も新たに教養学校に臨む。テーマは教育。今回は関心のある分野でもあったため,へたくそながらも前回よりは議論に参加。発音が悪くてイイタイコトが伝わらないことがあるため,黒板にメモをしながらの発言と相成りました(苦笑)。
終了後は当然,おなじみの「太白山脈」で飲みである。前回の失敗を繰り返さないためにも,今回は焼酎(ソジュ)のペースを控えめにし,水を飲む作戦に。社会学科は歌が好きな学科らしく,韓国の歌をみんなで合唱しはじめたため,再びオイテケボリに(笑)。もちろん,僕の韓国語がよくわからないというのもあると思うが,S君の所属する外交学科に較べて,社会学科の学生はどうも外国人に慣れていないようだ。外国人と初めて会ったという学生も多いし……。こんなんで「国際化を目指すソウル大学」とかいってはイケマセン。
結局二次会(二次会はビールでした)の最後までつき合った結果,帰宅は午前4時。次の日も語学堂があることを考えると辛い時間だ。明日の朝,ちゃんと起きられることを祈って床につく。

語学堂で話題になった,韓国のヘンナモノ。公衆電話付き自販機。
TELEPHONE & COLD DRINKSって書いてあります。

拡大。本当に使えるかは分かりません。ちなみに雨ざらし。ナクソンデ市場にて。
2001/03/20 春分,とはいっても休みではない。
日本では春分の日で休みだが,韓国では別に休みではない。3月の公休日は1日のサミルチョル(独立運動記念日)だけである。さすがに朝から眠かったので,授業終了後はまっすぐ寄宿舎に帰宅。昼寝をしていたら20時になっていた。
この日は,正式な学生証を受け取りに(これがないと図書館で本が借りられません)学部の事務室に出向く。しかしながら「まだです」「交換留学生は学生証ないんじゃないですか」との対応。もう一人の留学生はすでに学生証を受け取っているので,こっちも食い下がる。「もう一人はもうもらってますよ」「外交学科の事務室に訊いてみてください」「カードがないから図書館で本が借りられなくて困ってるんです」とまくしたてたところ,電話でどこかに確認し始め,数分後「すいません」と非を認めされることに成功。先週,一度写真を提出しているにも関わらず「できるだけはやく作りますので,写真がもう一枚必要です」と言われちょっとむかついたので,「もう授業始まってるのに困るでしょ」と捨てぜりふを吐いて事務室を出る。意外と健闘したことで,自分の韓国語力の向上を確認(笑)。「できるだけはやく」とは言っていたものの,できあがるのはたぶん来週だろう(後日談:やっぱりこの週には受け取れませんでした)。韓国人の言葉を真に受けてはいけない。
2001/03/21 発音矯正→農協→出入国管理事務所→学科総会。
毎週水曜日は午後の授業はない日。ということで,授業が終わる15時頃からまだまだ残っている様々な手続きを済ませることにする。実は学科の学生総会が午後4時からあるらしいのだが,どうせ出てもよく分からないだろうし,第一疲れる(苦笑)ため,開始時間に遅れることは計算づくである(笑)。また,今日から毎週月曜と水曜の午後に15分ずつ,語学堂の発音矯正の個人指導がスタート。発音のクセを調べ,時によっては口の模型を使いながら発音法を説明し,矯正してくれるという授業である。これが予想以上にちゃんとしていてオドロキ。初日から「リウルパッチム」の発音を徹底的に直されました。
まずは農協に口座を作りにいく。日本でいうと郵便局に郵便貯金の口座を作りに行くような感覚である。とはいってもどこかに行く必要はなく,ソウル大の構内の「農協ソウル大支店」に行けばことは済む。日本の大学にありがちなATMだけの「出張所」ではなく,窓口のある「支店」なのである。
口座開設時には,本来ならば「住民登録番号(くわしくは別のページを参照)」が必要なのだが,外国人はパスポートを出せばオッケー(一応パスポートのコピーは取られた)だった。また,パスポートの他に印鑑も必要である。韓国も日本ほど機会は多くないが印鑑を使うのだ(ただ,日本のように朱色の朱肉は使わず,普通は紅色の印泥(書道作品に落款を押すときに使うもの)を使うらしい)。通帳にはハングルでフルネームがちゃんと入りちょっと感動。韓国人の名前は普通,ハングルで書くと3文字(たまに2文字の人もいる)である。これに対して,日本人の名前をハングルで書こうと思うと,基本的には「音」の数だけ文字が必要になってしまうので,非常に長くなる。例えばサカザキモトヒコの場合,ハングルだと8文字必要だ。しかし,韓国ではさまざまな用紙や書類の「氏名欄」はたいてい漢字3文字分のスペースしかない。だから,韓国では日本人のフルネームを書いたり印刷することはなかなか難しいのだ。実は僕の学生証も「サカザキ」としか書いていない(といスペース的うか書けない)し,ひどいときは頭から3文字しか印刷できず「サカザ」で止まっていることもあったりする。農協の通帳は法人名が入る場合もあるがために,十分「氏名欄」が広く,名前がフルネームで入ったという次第である。
そしてその場でキャッシュカードも発行される。日本だと本人確認などのためにキャッシュカード発行までに時間がかかるが,韓国では住民登録番号さえ分かれば(たぶん農協の窓口のコンピュータで)即座に身元確認がとれるため,こんなに早い処理が可能なのであろう。ただ,口座開設申請書に,家族構成やら家族全員の住民登録番号や職業,ひいてはパソコン所有の有無や趣味まで書かされるのはめんどうくさい。さらに,秘密番号(ピミルボノ)まで申請書にでかでかと書かせるのはどうかと思うぞ。「秘密番号漏洩に注意!」とかATMには書いてあるクセに。まぁ,「頼れる民族銀行」を名乗る農協に日本人が口座を持てただけでもありがたいのかもしれない。

農協の通帳。「スーパーバンク通帳」って書いてあります。
デザインがいかにも「農協」って感じ。

通帳の1ページ目。ハングルでちゃんとフルネーム入っててちょっと感動。
その後,地下鉄に乗って,梧木橋(オモッキョ)にある出入国管理事務所に向かう。外国人登録をするためだ。90日以上韓国に滞在する外国人は全員登録が必要なのである。最初は間違った窓口にならんでしまい,偶然会った語学堂のクラスメイト(ロシア人と中国人)に教えられなければ,危うく帰化申請をするところだった(苦笑)。必要なのは在学証明書と写真1枚,そしてパスポート,手数料10,000ウォンである。
まずは日本人・中国人専用の窓口へ行き,パスポートの確認。その後,外国人登録の窓口に移動するのだが,ここでも韓国人らしいいいかげん……いや臨機応変な態度で接していただきました。外国人登録の窓口では,番号札を取らずにいきなり窓口へ突入。しかし追い返されることもなく「本当は番号札とらなきゃいけないんですよ……まぁ,急いで手続きすればいいでしょ」と後ろにならんでいる人がいるのもかかわらず,VIP待遇で手続き開始である。当初は指紋は取られないと聞いていたのだが,係員の説明によると「滞在期間が1年以上の場合は指紋採取が必要で,1年未満の場合は指紋は必要ない」とのこと。滞在期間がちょうど1年の僕は考えたあげく,「X以上はXも含む,X未満はXは含まない」という数学の用語法に則って指紋採取を受けることにした。
指紋は10本全部取られた。しかも,1本ずつ別々に取った後,手を広げて(いわゆるパーにした状態で)取られた。別に何も悪いことをしていないが,あまり気分のいいものではナイ。やはり係員は気さく(?)で,指紋を採りながら「ハングルうまいですけど,本当に外国人ですか?」と笑いながらギャグ飛ばしたりしてるし,そばで見ていた女性事務員は机にひじ突きながらビスケットかじって「どのくらい韓国語勉強したの?」と質問してきたり,なれなれしい……いや,親しみやすいことである。日本の出入国管理事務所ってもっとピリピリした雰囲気のような気が……。韓国らしさがプラスに現れている場であると言えよう。登録証は来週の月曜日に完成するそうである。窓口業務時間が18時までというのもありがたい。次回,受け取りの時にビザを一時出国できるように書き換えれば,とりあえず事務作業は終わりだ。
帰りはソウル大入口駅からバスでソウル大まで向かう。しかし! バスの中でうつらうつらしているうちに,全く知らないところまできてしまっているではないか! とりあえずバスを降りたものの,マウル(集落の意)バスだったのでちゃんとした停留所の看板もなく,どこにいるのか分からない。焦りながらも,司法試験予備校や会計士試験予備校が密集している地域だったので,ソウル大に近いことは確信。人が多い方へ,多い方へと歩いていくと,ソウル大行きのバスがあったので,これに乗車して無事ソウル大へ到着。最初に間違ってたどり着いた先は現代アパートだったようだ。
結局ソウル大に戻ったのは18時半。もう総会も終わっているだろうと思ったが,意外にもまだ継続しているとのこと。出席はしてみるものの,何について議論しているのかよく分からない。しかも,「議会定足数の変更」提案に関しては「民主主義とは何か」などといった議論まで飛び出す始末。日本だとこういう総会はなぁなぁで終わることが多いが,特に社会学科というせいもあるのだろう,新入生の女の子まで活発に議論を戦わせ,21時になっても総会は終焉を迎えない。やらなきゃいけないことがたくさんあったため,つきあいきれなくなって寄宿舎に帰宅。社会学科の泥臭さ,熱さを感じた総会であった。

学生会館の薬局でかった風邪薬。けっこう調子いい。
2001/03/22 鬼門「情報社会論」。
風邪をひいて鼻がつらい。目も涙が出て止まらないし目やにもちょっと出る。というわけで,あらかじめ「目やに」を辞書で調べて(笑)学生会館の中にある薬局に行く。薬師(ヤクサ)に相談すると目の方は症状が出始めてから時間が経っているということで,医者に行けといわれて薬を売ってもらえなかった。しかしながら風邪薬は無事購入。1回1カプセルの薬が10カプセル入って2,000ウォン。こんな風邪薬が200円程度で買えるのだ。というか,実は日本の薬の値段が高すぎるのだが……。韓国の薬は強くて良く効くとの噂を効いていたので,効き目に秘かに期待。
毎週木曜の16時からは3時間連続の「情報社会論」である。内容的には一番面白いのだが,これが一週間の鬼門である。話によると,韓国人にとってもこの授業は内容・課題ともにハードなようだ。最初は集中して聞いているため授業についていけるのだが,2時間くらい経過すると集中力が切れてきて,何をいっているのか分からなくなり,3時間が経ったころにはヘロヘロになっているのが今のところのパターンである。板書も汚くて判読不能。今日は技術社会論的なテーマの話であった。書評は再来週に提出すればいいことになっったようだ。しかしながら,本1冊の要約をレポート用紙で3枚,批判的考察を7枚というのは韓国語文献を選んだ韓国語ネイティブにとってもきつい量。まして,英語文献を読んで韓国語でレポートを書く僕にとっては……。課題図書は読めたにしてもレポートはもっと短いものになる予感。先生も事情を分かって許してくれることを期待しつつ……。
今日も本来は教養学校第3回があるのだが,忙しいことを理由に欠席。一応,置き手紙をカバン(学生室)に残しておきました。
2001/03/23 疲れがたまる金曜日。
さすがに金曜日ともなると語学堂も静かだ。疲れがたまってきているらしい。
午後からの授業の「南北分断と韓国戦争」ではあらかじめ添付ファイルとして電子メールで資料が送られてきたのだが,これが「アレア・ハングル」形式。読めない……。「アレア・ハングル」とは韓国では「ワード」とならぶワープロソフトの双峰である。ウィンドウズだと,WEBブラウザで読めるようにするプラグインもあるらしのいだが,いかんせんマイナーなマックユーザーなので……。仕方ないので学科の友人のをコピーさせてもらった。
今日もそそくさと寄宿舎へ帰宅。新入生たちはMT(メンバーシップ・トレーニング……合宿)に明日から行くみたいだが,僕は片づけなきゃいけない仕事が多いため,今回は断念。1年生にとけこめるかどうか,懸念が増すばかりである。寄宿舎に机の上にはルームメイトからのメモが。「MTの関係で今日は帰りません」とのこと。いつもは勉強しながら音楽をかける彼のこと。今日は静かな夜が訪れそうだ。