プサン(釜山)旅行記

 PROLOGUE-1 プサン(釜山)に行こう!

 大学の夏休みは6月末から8月末までほぼ2ヶ月間なのだが,僕はその間もいわゆる「語学学校」に通っていたので実質休めるのは2週間あまり。部屋の整理や,買い物や,日本から頼まれた資料集めなんかをすることになっていたのだが,せっかく韓国まで留学にきておいて,地方に行かないのはもったいないし,なによりもつまらない。というわけで,韓国第二の都市であるプサン広域市に小旅行をすることにした。親しい友人のサンウはプサン出身で,ちょうど今プサンにいるし,お世話になっている先生もプサンに住んでいらっしゃるので(昨年末に梨花女子大学で開かれた学会の時に知り合った先生で,僕の韓国での身元保証人をしていただいた)よく考えたら一度くらいは行かない方がヘンだ。

 まず,あまり韓国の地理に詳しくない人のために,プサンの位置はこの地図のとおり。(ぜんぜん関係ない大検察庁インターネット犯罪主査センターから引用した地図に着色・注釈)。市の形はあまり正確ではないけれど,だいたいの位置は分かっていただけると思う。海に面した港町である。

 プサンの歴史や名所について,そんなに詳しいわけではないのでいちいち説明しないけど,基本的には朝鮮戦争で韓国側が劣勢だったとき,韓国国内から避難してきた人々住み着き,発展した都市ということができよう。それゆえ,都市計画というものが考えられる以前に無秩序に住宅地が造られたため,街はソウルに較べて雑然とした印象を受ける。海と山にはさまれ,平地が少ないこともその要因だろう。また,歴史的,貿易などの面においても,日本と非常に深い関係にある都市である。

 あまりお金をかけるわけにもいかないので,宿は先生のお宅に泊めていただき(ずうずうしくも),市内はサンウに案内してもらうことにした。その代わり,プサンまでは韓国が誇る特急列車「セマウル号」で往復することに。切符は大学の厚生館でも帰るのだが,外出したついでにヨンサン駅であらかじめ買っておいた。


国鉄の乗車券。これはプサンからソウルへ帰るときのものだけどね。
切符は本当は回収されるけど,駅員に言えば記念に持って帰れる。

 PROLOGUE-2 国鉄の種別について。

 地方の公社が運営している地下鉄は別にして,韓国はまだまだ鉄道は国有。そのため,国家機関として「鉄道庁」が存在する。国鉄というとどうしても日本の国鉄を思い浮かべてしまうので,サービスが悪くて偉そうという印象があるが,韓国の国鉄はそうでもない。特に最高のグレードである「セマウル号」に限って言えば,速度は遅いものの車内は日本のひかり号よりもゆったりとしており,快適に鉄道の旅行ができるという印象だ。知っている人も多いと思うが,韓国の鉄道にも「特急」「急行」(呼び方は異なるが)などの種別がある。もちろんグレードが高いほど料金は高く,停車駅が少なく,目的地に早く到着できる。とはいっても電車そのものの速度はどのグレードも一緒なので,新幹線と在来線のような極端な時間差があるというわけでもない。もちろん,車内の快適さや設備はグレードに比例するが……。グレードは以下の通り。

 「セマウル号」……「新しい村」の意味。かつてパク・チョンヒ大統領時代に行われた「セマウル運動」がその語源となっている。いわゆる特急列車。車内もゆったりした作りである。ソウルからプサンまでは4時間半ほどかかり,26,000ウォン(約2,400円)。学生割引などは一切ない。

 「ムグンファ(無窮花)号」……「ムグンファ」とは「ムクゲ」のこと。いわゆる急行。学生割引などもあるため,学生が故郷に帰省するときなどによく利用する。料金は20,000ウォン弱らしい(利用したことがないのでよく分からない)。ソウルからプサンまでは5時間半ほど。

 「トンイル(統一)号」……そのままの意味である。長距離線では一番遅い列車で,普通列車に当たる。

 「ピドゥルギ号」……「ピドゥルギ」はハトの意味。主に地方路線を走る鈍行列車である。映画などで見るところによると,電車にはドアがないらしい(怖)。

 本当に急いで移動したい人は飛行機を使う(ソウルからプサンまで30分くらい,しかし50,000ウォンほどかかる)が,環境保護上あまりよろしくないので(ジェットエンジンの排気ガスって結構問題なのだ),現在「線路上の飛行機」を謳う高速鉄道を建設中である。実際,ソウルからプサンに向かう車窓からも工事現場をよく目にした。ちなみに,今まで「列車」という言葉を使い「電車」という言葉を使わなかったのは,まだ韓国の国鉄がディーゼルだからだ。建設中の高速鉄道は電動なんだと思うけど。

 2001/08/21 am ソウル駅からプサンへ向かう。

 プサンまで4時間半ほどかかることを考え,あらかじめ朝8時45分発の列車の切符を買っておいた。発車30分前には駅に着いておきたかったので,かなり早めに寄宿舎を出る。ソウル駅まではバスでも行けるのだが,朝は渋滞がひどいことを考え,無難に地下鉄で移動。その結果,ソウル駅にはかなり早く到着した。駅のコンコースの売店でキンパプ(のり巻き)の朝食をとったり,駅の中をふらふらと見物しているうちに改札が始まったので改札口に向かう。


ソウル駅。東京駅と設計者は同じらしい。夜はライトアップされてキレイだ。


ソウル駅の中。つくりはまるで空港みたい。発車15分前から改札が始まる。

 改札口はまるで飛行機の待合い室のようだ。発車15分前から改札は始まる。ゲートで係のお姉さんに切符を見せ,改札口から続く階段を下りると電車のホームに出る。電車のホームでは係員がおじぎをしながら乗客がくるのを待っていた。電車の中は非常に快適。シートの幅や前後の感覚は日本のひかり号よりも広い。車内の音楽放送もあり,テレビも付いている(「特室」という日本のグリーンカーにあたる車輌に乗ると各席にテレビがついているようだ)。テレビではバラエティ番組や映画が放映される。社内放送は韓国語,英語,日本語,中国語の4か国語。ちなみに,ちょっと前に例の教科諸問題の影響で日本語の放送だけ中止されそうになった。

 車内では日本の新幹線のごとく,弁当売りや飲み物売り,コーヒー売りなどがやってきて結構忙しい。沿線各地の名産品も売りにくるところまで日本と全く同じである(この日は「ポソン郡の緑茶」と何かだった……ポソン郡は日本でいうと宇治のような緑茶の名産地)。ちなみに16両編成のうち,食堂車も2両付いている。8両目が機関車で通過できないため,前側と後側に1両ずつ食堂車があるのだ。食堂車は高そうだったので,僕は駅の中で売られている弁当を食べてみた。売りにくる弁当は1種類しかないが,どっかのホテルがつくった弁当らしく味は悪くなかった。ご飯は食堂車で炊いた炊きたてのものをつかっているらしく,まだほかほかで,おかずの中ではポッサムキムチが結構おいしかった。5,000ウォンと市内の食堂の値段と較べてもちょっと高めだが,話のネタに食べてみてもいいだろう。

 昼過ぎにプサン駅に到着。迎えにきてくれたサンウと一緒にとりあえず地下鉄の駅に。


プサン駅。ソウル駅に較べるとちょっと情緒がないけど……。

 2001/08/21 pm とりあえず荷物を預けていわゆる「観光名所」へ。

 荷物が重いので,とりあえずナンポドン(南浦洞)へ向かい,サンウの小学生時代からの友人がバイトしているというお土産やさんに荷物を預けて市内を観光することにする。今はプサン市の中心街はソミョン(西面)にうつってしまっているが,以前はナンポドンがプサンの中心街だったのだ。プサン国際映画祭が開かれる「PIFF広場」もここナンポドンにある。ソウルの中心街ミョンドン(明洞)に較べると道が狭く,込み入った印象をうける。また,そのためオートバイの姿が目立ち,道をぼうっとあるいているとオートバイにはねられそうで危ない。街の雰囲気はソウルでいうと梨大前(梨花女子大学前)のような感じである。日本人観光客が思いのほか多いらしく,ソウルよりも日本語で書かれた看板をよく目にした気がする。PIFF広場の横にあるSEATTLE'S BEST COFFEEという韓国オリジナルのコーヒーチェーンでも店員さんから日本語で話しかけられたし。また,心なしか女の子の服装(色使いやスカートの丈など)がソウルよりも日本ぽかった。

 それにしても蒸し暑い。周りを海と山に囲まれているせいもあるだろうが,比較的湿気の少ないソウルに較べて,いうならば「日本っぽい」じとっとした暑さである。幸い雨は降らなかったが,天気がそこそこよかったせいで,かなり日に焼けた気がする。

 まず向かったのは魚市場で有名なチャガルチ。ナンポドンからは歩いていける。地下鉄ではたったひと駅分だ。もろに漁港のすぐそばで,道でおばちゃんやおじちゃんが魚を売っている様子はちょっと輪島の朝市風味である。もちろん,輪島よりは雑然としていて,魚のニオイもぷんぷんしている。もちろん港には漁船が停泊しており,漁をしない昼間は観光客相手の商売として,観光客を漁船に乗せてプサン湾一周クルージング(?)みたいなことをやっているみたいだった。もちろん,港のすぐそばには本当の魚市場(せり場)のような建物が建っている。近くにはコカルビを食べさせる店も多い。「コカルビ」とはソウルでは絶対に見ない看板であるが,「コカルビ」の「コ」は「コドゥンゴ(さば)」の「コ」。脂ののった(だから「カルビ」)さばにトウガラシミソをぬって焼いて食べさせる店だ。泊めていただいた先生の話によると,若い人は別に食べないが,ある程度年をとった人はこれを肴にソジュ(焼酎)をぐびっとやるそうだ。残念ながら食べては見なかったが。今度行くときは食べてみよう。


チャガルチの様子。

 次に向かったのはテジュンデ(太宗台)という場所。チャガルチから市内バスにのって20分ほどの場所だ。大きな自然公園と小さな遊園地,そして海水浴場がある観光地である。海水浴場といっても海岸は砂浜ではなく,丸石。周囲には観光客向けの飲食店などが立ち並ぶ。蒸し暑い中,自然公園を見るのは大変そうだったので,ちょっとだけ波の音を聞き,再びバスに乗ってナンポドンに戻る。

 この日の夕方にナンポドンでお世話になるハ先生と待ち合わせをしていたのだが,まだ時間が早すぎる。というわけで,プサンの観光名所といったら忘れるわけには行かない「プサンタウォ(タワー)」へ向かう。タワー周囲の公園は暇なおじいちゃんやおばあちゃんのたまり場になっていて,これもソウルでいったらタプコル公園みたいだ。タワーの展望台にのぼるのはもちろん有料。いくらか忘れちゃったけど,かなり高かった覚えがある。3,000ウォンくらい取られたのかな……。確かに展望台にのぼると市内が一望できる。実際にのぼると,海と山を同時に見ることができ(つまり,平地が結構少ないということ),プサンの地理を把握することができる。下の写真は南側を撮影したものだが,右奥に見えるオレンジの橋が「プサン大橋」だ。そしてその橋の向こう側は,ヨンドと呼ばれる実は巨大な島。先ほど行ったテジュンデはヨンドの先端にあるのだ。また,見る方角によって島の数が違って見えるという「オリュクト(五六島)」も見ることができる(島が五個や六個に見えるところからこの名がついたらしい)。


展望台のガラス越しに撮った。

 サンウの話によれば,東京タワーなどとは違って電波塔などの機能は果たしていないらしく,完全に観光向けの施設のようだ。しかし,東京タワーと同じ点もある。それは「地元に住んでいる人は行かない」ということだ。僕もソウルにある「ナムサン(南山)タウォ(タワー)」には行ったことがなかったりする(笑)。

 夕方になったので,お世話になるハ先生(ハ・チョングン(河宗根)先生)と会って一緒に市内で食事。ハ先生は奥さんと一緒にきてくださった。食事をすませた後は,サンウとは別れ,先生が講師をされているトンア(東亜)大学で先生としばらくお話をしたのち,ソデシンドン(西大新洞)にある先生の家へ。食事の時がサンウと先生の初対面だったのだが,偶然,名字と本貫が同じということで,それが話のきっかけになっていた。いかにも韓国っぽい感じである。

 ちょうど先生は発表に向けて論文の執筆中だった。お忙しいところをおじゃましちゃったみたいです。ひとしきり荷物を整理して,シャワーを浴び,日中がかなり蒸し暑かったせいもあって,次の日のかなり遅くまで寝る。ちなみに先生にはまだ1歳にならない娘さんがいらっしゃった。僕のしゃべる変な韓国語は彼女にどう聞こえたんだろう。

 2001/08/22 プサン大学とポモサ(梵魚寺)へ。

 結局,起きたのは9時ころ。先生のお宅で朝食をとり,地下鉄の駅でサンウと待ち合わせる。地下鉄でまず向かったのはプサン国立大学。先生のお宅の最寄り駅から地下鉄1号線に乗り,30分程度でプサン大学駅に到着。駅からシャトルバスも出ているのだが,そんなに遠い距離ではないので歩いていくことに。

 プサン大学駅から大学の正門までは,飲食店や洋服やアクセサリーの店,おしゃれな感じのテーマカフェなどが密集する,あか抜けた「学生街」の雰囲気である。プサンの韓国スポットの一つになっているのも頷ける。ソウルでいえばヨンセ(延世)大学前やイーファー(梨花)女子大学の雰囲気に近い感じ。同じ国立大学でも,ソウル市のはずれの山の中にあるソウル大学とは大きな違いだ。大学の中を歩く学生の雰囲気からも,ソウル大学の学生よりも数段あかぬけた印象を受けた。


プサン大学の本部。ソウル大よりも美しい。


大学はどこもそんなに変わらないので,
こういう写真でもとらないと「確かに行った」という証拠をつくりにくい(笑)。

 はっきりいって,大学そのものに行ってもすることがないので(アタリマエ),大学の中にある博物館でプサンにある遺跡なんかを一通り見学した後は,学内の売店に行ってプサン大学グッズを少々物色。一応記念にとカンバッヂとピンバッヂをいくつか購入。その後,大学正門前の繁華街で昼食。この辺りでは「テジクッパプ(豚クッパ)」が有名らしいので,それを食べる。確かにソウルでは見たことのない食べ物だ。普通クッパというと牛肉(スープも具も)を使うのだが,テジクッパプはその名の通り,スープも豚骨風の白濁した感じだし,具も豚の薄切り肉と豚の内蔵を刻んだものだ。これにニラを入れて食べるとおいしいらしい。多少はケモノ臭いものの,牛肉を使ったものよりも素朴な味で,牛肉のクッパプを食べなれた舌には新鮮だった。

 昼食を食べ終わったらプサン大学を後にして,次は「ポモサ(梵魚寺)」に向かう。プサン大学からは結構近く,プサン大学駅から地下鉄で15分くらいでポモサ駅に到着。ここから市内バスに乗れば,ポモサの入口までのぼって行くことができる。もちろんハイキング気分で歩いてのぼることもできるのだが,今日も蒸し暑いので素直に市内バスで入口まではのぼることにする。


お寺とは思えない色使い。内部は撮影禁止だった。

 ポモサそのものの由来などはよく分からないのだが(調べれば分かるのだろうけど,メンドくさくて調べてない)とにかく広い山寺で,敷地の中には○○殿と名前のついた本殿がいくつもあり,仏像が安置されている。仏像は日本のものよりもかなりふっくらとした感じである。もちろん仏像は金色なのだが,その背後に描かれている絵やその他の像にはさまざまな色彩が用いられており,そこには韓国文化における色彩感覚が感じとれる。上の写真は本殿の外部の装飾を写したものであるが,内部の天井や柱もこのような感じの装飾が施されている。装飾はキョンボックン(景福宮)などの宮殿に見られるものとほぼ同じである。ここポモサは観光地としても有名だが,当然お寺であるため仏像を拝んでいる人も多い。その方たちの姿を見ていると,拝み方も,ただ静かに頭を下げる日本とは大きく異なることが分かる。「立った姿勢→手を合わせながらひざまづく→頭も床につける→また起きあがって完全に立つ」という一連の動作(このような正式なお辞儀の仕方を「チョル」というらしい)を繰り返すのだ。同じ仏教とはいえ,日本とは完全に違うのである。ここには本殿の他にも僧侶になるための勉強をする学校のような施設もある。本殿そのものも十分に楽しめるし,お寺自体が山の中にあるため自然も豊かで,薬水(わきみず)も沸いていて,秋にくると紅葉でいっそう美しいんじゃないかと思う。

 やはり蒸し暑さの中の移動は厳しい。今日は時間もないことだし,他の観光をするのはやめ,地下鉄でソミョンに戻る。これといってすることもないのだが,書店によったり,喫茶店によったり,旅行社で帰りの切符を買ったりしているうちに,先生とのお酒を飲む約束の時間が近づいてきたので,再びナンポドンへ向かう。


ソミョンにあるミリオレプサン店前。
写真を撮ったら警備の人に怒られた。

 お酒を飲んだあと,繁華街をとおって駅に向かう道で,先生に「チュンムキンパプを知ってるかい」と訪ねられた。キンパプというのはいわゆるのり巻きのことだが,「チュンムキンパプ」というものは聞いたことがない。話を聞くと「チュンム(忠武)」というのは地名で,プサンの近くにあるそうだ(正確に覚えていない……また調べたら書き足します)。今まではあまり気をつけて見ていなかったが,改めて見てみるとソウル市内にも「チュンムキンパプ」を食べさせるお店は結構あった(ミョンドン(明洞)にもあった)。このキンパプ,どこが普通のキンパプと違うかというと……写真を見れば一目瞭然。


チュンムキンパプ拡大図

 そう,具が入っていないのだ。具を入れてしまうと傷みやすいため,具を除いてキンパプをつくったのがその起源ではないか……と先生はおっしゃってました。もちろん,この「具なしのり巻き」だけを食べるわけではなくて,カクトゥギ(ダイコンのキムチ)とオジンゴムチム(イカの和え物)と一緒に,ながめの楊枝で食べるわけ。


ミョンドンのチュンムキンパプのお持ち帰りセット。
右奥がカクトゥギ,左奥がオジンゴムチム。

 PIFF広場の近くにこのチュンムキンパプの専門店があったので,1人前だけお持ち帰りにしてもらったのだが,結局お腹がいっぱいで,先生に一人で食べてもらうことに……。後日,あまりにも気になったので,ソウルのミョンドンでお持ち帰りにしてもらって,寄宿舎で食べたのが写真のキンパプだ。この店だけなのかどうかは分からないけど,オジンゴムチムが異常に辛かったのが印象的。

 先生のお宅の近くのバーでちょっと話をして,先生のお宅に帰る。バーの主人(野球好き)に韓国のサムソンライオンズの誰かのサインボールをもらった。野球知らないから,いいって遠慮したんだけど……。

 2001/08/23 今日は南へ。

 朝起きたのはやはり10時過ぎ。今日はサンウがカーウェー(課外・家庭教師のこと)のバイト(これも韓国ではアルバと略すのだけど)で一緒に行動できないとのことなので,一人で南に下りてみることにする。今日がプサン最終日なため,電車の発車時間に遅れるわけにはいかず,ちょっとあわただしいことになりそうだ。

 地下鉄の駅で先生と奥さん,娘さんに見送られ,まずはプサン駅で荷物をコインロッカーに預け,駅の前から出ているバスでプサン市立美術館に向かうことにする。美術館前まで行ける地下鉄2号線は現在工事中のため,バスしか交通手段がないのだ。美術館まで行くバスの番号は教えてもらったとはいえ,知らない土地でバスに乗るのは楽しい反面,神経を使う。目的地までどのくらい時間がかかるのか知らないため,バスの中で寝るわけにも行かないし,バスの車内放送に気をつけなければならない(車内放送が間違っている時もよくある)。でも,窓の外の風景が見えない地下鉄に較べると,景色が楽しめるのがバスの醍醐味でもある。ソウルもプサンも地形の起伏が激しく,すでに市街地には線路を引くような土地がないため,近距離電車といえば地下鉄以外にはないのだ。また,話はそれるが,ハンガン(漢江)を渡るバスの車窓から見るソウルの夜景は最高である。

 バスでやく30分から40分ほどで市立美術館に到着。この辺りはプサン市の中でもまだ開発が進んでいない地区らしく,周りには造成地や造成中の土地が広がる閑散としたところに美術館は建っていた。美術館の道路を挟んで向かい側には「BEXCO」という国際展示場が建っている。地下鉄がまだないため不便だが,地下鉄が開通すればそれなりに「副都心」的な機能を果たせるはずだ。美術館そのものはまだ新しい建物で,光の採り入れ方なんかになかな気を使っている印象を受けた。プサンに限らず,韓国にきてからずっと気になっていることなのだが,それにしても美術館で美術作品に手を触れる人の姿が目立つ。こどもは展示ホールを走り回っているし……。まだまだ文化教育を浸透させる必要があるようだ。


プサン市立美術館外観。


その向かいにあるBEXCO(国際展示場)。

 さらに美術館からバスで20分くらい南に行くと,韓国有数の海水浴場である「ヘウンデ(海雲台)」に出る。バスを下りるといかにも海辺の観光地,といった感じの商店が立ち並んでいる。一応,国鉄の駅はあるのだが,国鉄は1時間に2本しか電車がないので不便だし,ここまでくるはずの地下鉄2号線はまだ工事中だ。地下鉄が開通すれば,もっと気軽に海水浴にこれるようになると思う。近くにはリゾートホテルなんかもあったりして,かなり整備された観光地だ。砂浜も海もけっこうキレイ。


浜辺。

 バス停から商店街を歩くこと10分くらいで浜辺に到着。もう夏も終わりに近いこともあって,そんなに混雑してはいなかったものの,それなりに海水浴客はいるようだ。波の音と,歓声と,フィルムやら浮輪やらを売るおじさんの声を聞きながら,しばらくベンチで海を眺めていた。

 まぁ,日本との違いといえば,女の人が水着を着ないことくらいかな……。よほどスタイルに自信がある人でないと水着をきて海に入ることはないようで,ほとんどの人はTシャツと短パンで海水浴を楽しんでました。かといってリゾート水着が売っていないわけではなくて,トンデムンなりミョンドンなりに行けば,ビキニ(韓国人は遺伝的に胸が小さいのに一応売ってる)からパレオまで日本と品揃えは変わらないんだけど……。まぁ,ソウル市内のちょっと高めの遊園地(エバーランド)の室内プールではそうでもないことを考えると(行ったことはないが)単に日焼けを嫌ってのことかもしれないし,客層の違い(金のあるなし,家族か二人連れか)かもしれない。ちなみに,韓国でも日本と同じように美白が流行のようです。

 まだ時間が余っているので,バスでブサンジン(釜山鎮)駅まで向かい,地下鉄でプサン市役所に行ってみる。最近移転したばかりでかなり綺麗な建物だった。地方都市はどこの国でもそうだと思うのだが,やはりプサンでもIMFの余波から完全に抜け出せていないらしく,市役所には「就職先(イルチャリ)をもう一つ探そう運動」の垂れ幕がかかっていた。たしかに,プサン大学を卒業し,就職を希望する人の4割が仕事に就けないという状況はかなり深刻だ。プサン大学は,一応韓国ではソウル大に次ぐ2番目の国立大学。日本でいったら京都大学のようなものだ。企業などが首都ソウルへ一極集中する傾向が,日本よりもはるかに強いことも原因の一つであろう。

 バイトの終わったサンウと会うため,ソミョンに向かう。残った時間も中途半端なので,本屋で時間を潰してプサン駅へ。発車まで時間が若干あったので,駅構内のロッテリアで軽い夕食(キムチライスバーガー……キムチチャーハンでできたライスパテにキムチソース,キムチパテをはさんだという,日本では売れないだろうというハンバーガー)をとる。


発車の直前に,セマウル号改札口の前で。左が友人のサンウ。

 そして,セマウル号の発車が近づいたので,ホームに出る。せっかく駅まで見送りに来てくれたので入場券を買ってサンウにホームに来てもらった。そして数分後に発車。こうしてプサン2泊3日の旅は終了。帰りの電車の中でも,行くと全くおなじ弁当を買って食べ,うとうとしているうちにソウル駅に到着。後はいつものように地下鉄,マウルバスと乗り継いで寄宿舎に帰宅。旅行中,ハ先生をはじめ,サンウにはいろいろお世話になりました。どうもありがとうございました。


あまり関係ないけど,首都圏国鉄の列車。ヨンサン(龍山)駅にて。
緑色がシンボルカラーで,セマウル号のデザインも銀のボディに緑のライン。

 おまけ……「on/off」のページのタイトル写真は,プサンから帰るときに乗ってきたセマウル号を撮ったもの。ソウル駅で列車を下りたあと撮影。