2006/02/13 修士論文のためにソウルへ。

 今回は,冬に提出する修士論文に関する調査の一環として,ソウル市に所在する大学に通う学部生26名に直接インタビュー調査をするため,韓国を訪れました。猛暑の中,ソウル市内を地下鉄やバスで移動してインタビュー調査をし,できれば本や論文を収集するのが今回の韓国滞在の目的。正直に言うと,これほど行く前にプレッシャーを感じた韓国滞在はありませんでした。今回のインタビュー調査がうまくいかないと,修士論文に致命的な影響を与えてしまうからです。数ヶ月前からウェッブサイトを通じて事前に設問調査を行い,その中からインタビュー調査対象者を選び出し,あらかじめ,会話の録音ができるMDレコーダーや,狭指向性のマイクなどの設備を購入して臨んだ真夏の韓国滞在。体力的にも精神的にもキツいものになりそうです。

 とりあえず,今日は空港からお世話になる親友の稲川右樹・金成美夫妻のお宅へ移動する以外の用事はないので,金浦空港の横の映画館で『親切なクムジャさん』を見てから,タクシーでカンナム(江南)のお宅へ向かう。まだ1歳にならない娘さん(なるちゃん)がいるので,ちょっと迷惑かな……と思いつつ,日本での購入を頼まれていた商品とお土産を渡して,宿代とさせていただきました。

 お宅に着くと,僕の誕生日のお祝いをしてくれました。誕生日パーティーなどしたことはないし,他人からお祝いされることも少なかった僕にとってはちょっと感動モノでした。ケーキに立てたろうそくを吹き消して,軽くワインを飲みながらケーキをつまみました。夕方からは時間があって,ちょっと涼しくなってきたので,稲川右樹くんとナムデムン(南大門,正式名称は崇禮門〈スンネムン〉)へ。以前はロータリーとなっていて,歩行者がナムデムンに近づくことはできなかったのですが,いつのまにかナムデムンの周辺に緑地が整備されて,間近で国宝第1号(=ナムデムン)を見ることができました。


こんな風にフレンドリーにナムデムンにふれあえます。


ナムデムンは高層ビルの谷間にありながら,その存在感を主張しています。


ミョンドン(明洞)までも歩いて行けます。

 2005/08/01 インタビュー調査スタート。

 さっそく朝からソウル大学にバスで向かい,インタビュー調査をスタート。1人あたり1時間,長いと1時間半もの時間がかかるので,なかなか大変です。インタビューは1日あたりおよそ5人,ないしは6人のペースで入れてあります。初対面の人と会うだけでも相当なストレスなのですが,さらにこれを韓国語(いくら上手に話せるといっても外国語にか変わりありません)でやるのが,精神的に疲れます。さらにこの時期は韓国が最も暑い時期。僕が暑さが苦手なタイプなので,アイスクリームや冷たい水で,暑さを紛らわせながら糖分や水分を摂ってはいるものの,集中力がどうしても欠けてきてしまいます。そんな中,ソウル大学の中や近辺で撮った写真が次の3枚。


どう考えても,日本の伊藤園の「十六茶」のパクリでは……。
しかし,健康・美容ブームに乗って,ヒット商品になったらしいです。


いくら漢字を使わなくなったとはいえ,5文字中2文字の誤字率は高いのでは……。
正確には「漢城大学校」ですが,最近は「ソウル」を中国などで漢字表記する際は,
「漢城」を使わずに,発音が「ソウル」に近い「首尓(首爾)」を用います。


バスの中はこんな風です。

 2005/08/02 今日も続けてインタビュー調査。

 今日も朝,旅行会社に航空券を受け取りに行ってからインタビュー調査です。ほぼ1日の全てがインタビュー調査で終わってしまうので,楽しみは夕食くらいしかありません。今日はソウル大の美大に通っている友人の康子と一緒に,僕がおススメのポシンタン(保身湯)を食べに行きました。分かりやすく言えば,1988年のソウルオリンピックの時に問題になった「犬鍋」です。やや臭みはあるものの,香りの強い野菜や香辛料がたくさん入っているので無理なく食べられます。犬の肉と言わなかったら,誰でも食べられるのではないかと思います。夏バテには効果覿面で,夏に韓国に行く時は,必ずといっていいほど食べています。犬の肉を食べることに対しては,1988年のソウルオリンピックや,2002年のサッカーワールドカップの時など,国際的な行事が韓国で行われるたびに国際的な批判を受けているのですが,未だに食文化の違いを理解できない西欧の方々が多いようです。動物愛護を叫びながら,牛肉をムシャムシャ食べたり,フォアグラを味わうのだけはやめて欲しいものです。野うさぎの丸煮を食べる国があるかと思えば,かわいらしい小鳥を炙って食べたり,知能が高いクジラを食べ「野蛮な」食文化を持つ国だってあるのですから(日本のことですよ)。いろいろな意見があるでしょうが,「牛や豚は神が食物として与えてくれたものだから食べてもよいのだ」という理屈で世界各国の食文化は批判することだけはやめていただきたいものです。

 
旅行会社の近くを散策していたら,憲法裁判所があった。


学生街に行くと,下宿の広告がバス停や電柱にベタベタと。


これが噂のポシンタン。おいしそうでしょ。

 2005/08/03 今日もまたまたインタビュー調査。

 さすがにずっとインタビュー調査ばかりやっているので,疲れてきてしまいました。でも,論文のためには何とかがんばるしかありません。ひねもすインタビュー調査をやっているので,面白い話題がありません(すみません)。

 そして,インタビュー調査が終わったあと,韓国の環境財団からインタビューを受けました。そこが主催する日韓ピースボートに通訳として参加して欲しいと要請されていたのですが(団長がソウル大の言論情報学科の,僕の知っているの先生だったために話がきたのです),さすがに修士論文の執筆で忙しいので残念ながら断りました。しかし,それなら日韓両国の事情を知っている僕にインタビューだけでもさせて欲しいとのことだったので,応じることにしたのです。その内容はここにアップロードされています(韓国語です)。


インタビュー調査の場としてよく利用した,ソウル大社会科学大の学生ホール。
冷房があったので,助かりました。
壁新聞が貼ってあるあたりが,全共闘世代にはグッときますね(きっと)。


インタビューの合間を縫って行ったヨンサン(龍山)駅。
KTX(韓国版新幹線)の駅になってからは,見違えるほど立派になりました。

 2005/08/04 今日はお休み。

 計画を立てる時,きっとバテるだろうなあ,と思っていたので,この日は何も予定を入れてありませんでした。ということで,稲川右樹くんが務めている日本語学校で,ゲストスピーカーとして授業に参加しました。行く道で,回転寿司のお店に立ち寄って昼食。韓国で食べたお寿司の中ではなかなかの味でした。日本語学校の中は冷房が効いていて助かりました。そればっかりだなあ,と思うかも知れませんが,暑いと集中力が持たないのです。


いつの間にか,コンビニの「LG25」が「GS25」に変わっていました。
経営体制が変わったのが原因のようです。

 2005/08/05 インタビュー調査再開。

 リフレッシュして,今日からはまたインタビュー調査を再開しました。時間帯や場所は,インタビュー調査に応じてくれる人の都合に合わせるのですが,この日は4人にインタビューする予定で,時間帯は10時から20時までと幅広く,場所も散らばっていたので大変でした。

 帰宅すると,何だか中が騒がしく,何事かと思えば金成美さんのご親戚がお子さんを連れて大挙してソウルにいらっしゃっていたのでした。そして,部屋にはクーラーが設置されて快適な環境に。稲川・金夫妻の家にはクーラーがなかったのですが,僕の滞在中にクーラーを買ってしまったのです。やはり,クーラーがあると夜はよく眠れるし,朝,起きた時のけだるい感じがないのがいいですね。それにしても小さめの部屋に大人数が雑魚寝するのはなかなか大変。僕は明日の朝,1人だけインタビュー調査をしなければならないので,早起きしなければいけないのですが……稲川・金夫妻の結婚式の司会をプサン(釜山)でしたことがあり,僕の顔はご親戚の皆さんもご存知で,韓国語が通じることも当然ご存知。ちょっと夜更かししてしまいました。

 2005/08/06 動物園に。

 朝,他の方が寝ている中,9時半からソウル大学入口駅近くのスターバックスでインタビュー調査。無事に終わったら,そこにやってきた金成美さんのご親戚の自動車に乗って,親戚一同揃ってカチョン(果川)にある動物園へ向かいます。途中,ソウル大の寄宿舎売店で昼食用ののり巻きや,牛乳,水などを購入していざ動物園へ。なかなか広くて充実しているのですが(僕も留学中に何回か行きました),それにしても暑くて,動物たちもあまりの暑さにダレてしまっていました。


 金成美さんのご親戚。

 夜は,初めて僕がソウルを訪問した時からの友人,ソ・ジニョン(蘇真瑩)ヌナ(お姉さんの意)と,その彼氏,そしてそのご友人とチキンパーティー。実は今回の韓国訪問は忙しいものになりそうだったので,あえてごく一部の友人以外には何の連絡もしなかったのですが,ジニョンヌナには,偶然にもバス停でバスを待っている姿を目撃されてしまったのです。そして,ヌナは速攻で僕の携帯電話に電話。そして突然の電話に驚く僕。韓国ではプリペイド携帯を使っているので,番号はずっと同じなのです。その番号に電話をかけてみて呼び出し音が鳴れば,僕が韓国にいる証拠。韓国にいなければ,おなじみの「電波が届かないところにあるか,電源が入っていないため……」というアナウンスが流れるというわけです。そこで,ジニョンヌナのお父さんが,スウォン{水原)でチキンのお店(韓国ではビールは2次会で飲むもので,そのおつまみはチキンというのが定番なのです)をしていて,友人が集まるというので行くことにしたのです。偶然にバス停で発見され,そして電話され……世界は狭いとはこういうことなのかも知れません。しかも,そのパーティーに同席したとある女性は,僕の友人と友人(つまり,お互いが知らない間に共通の友人になっていた)だったりして,世界,いや,韓国の狭さと,気軽に誘ってくれる温かい人情のある国であることを再認識しました。


バスの車内からカンナム(江南)の様子を撮影。
キャプションがなければ渋谷といってもバレなさそうです。


ジニョンヌナのお宅でのチキンパーティーの様子。
お宅では猫を飼っていました。

 2005/08/07 サムスンこども博物館に。

 この日はインタビュー調査の予定がなかったので,前日に引き続いて親戚一同が一緒になってサムソンこども博物館へおでかけ。なかなかよくできていて,子供が喜びそうな展示が多かったですね。僕も韓国語のモールス信号や手旗信号を初めて知って,なかなか新鮮でした。展示を見たあとはコエックス(COEX)へ移動してフードコートで昼食を摂って帰宅。

 僕だけは夕食は韓国での弟,ハ・サンウ(河尚佑)とイ・ジェイクと一緒に,これまた行きつけの焼き肉屋さん(プンニョンオク,ウェッブサイトは少し内容が古い模様)へ。そこのご主人は僕のことをちゃんと覚えていてくださるのですが,毎回「日本には無事に帰ってきたかい」と訊かれるのです。どうやら,ソウル大にずっと通っていて,たまに日本に一時帰国していると勘違いしているご様子……。確かに,年に何回も友人と焼き肉を食べに行って,その度にご主人に挨拶を交わしていたら,そう思われても仕方ないよなあ……と思って,韓国にはもう住んでいませんとはあえて言いませんでした。安くておいしくてお腹がいっぱいになる,とってもいいお店なので,ソウルに行かれる時は,皆さんも是非とも行ってみてください。地下鉄2号線のソウル大入口駅から徒歩3分,マクドナルドの横の道を入ったところにあります。


いつものお店で,いつものメンバー。

 2005/08/08 再びインタビュー調査へ。

 この日は朝から夕方まではインタビュー調査,そして夜はサイワールドを運営しているSKコミュニケイションズ本社を訪問。偶然にも,僕がウェッブサイトで公開していた,昨年の研究計画書の韓国語バージョンを見て連絡をしてくださったのです。インタビューは順調に終わったものの,SKコミュニケイションズのあるチョンノ(鐘路)へバスで向かおうとしたら,ひどい渋滞で約束時間に遅れる始末。しかし,そこでは3時間ほどサイワールドに関する話をすることができて,実に有意義でした。そして,終電間際になって電車で帰宅。色々な話をしたので,それをメモ帳に整理してから就寝。

 2005/08/09 インタビュー調査は続く。

 この日は午前中に2人のインタビュー調査を終わらせ,コエックスで『ウェルカム・トゥー・トンマッコル』という映画を鑑賞(なかなかお勧め)。そして,夜にソウル大入口駅の近くのマクドナルドでインタビュー調査。ちょっとバテてきました。

 2005/08/10 オフ会。

 今日はインタビューは1人だけで,夕方からは友人のキム・ヒウォンさんのブログに集まる仲間でオフ会。ヨンセ(延世)大学の前に集まって,楽しい時間を共にすることができた。オフ会といっても,日本からオフ会のためだけにソウルに行くわけにはいかないので,時期を合わせてオフ会をしてくれたことに感謝,そして自分が韓国語が話せることに感謝。韓国人は基本的にフレンドリーなので,言葉の壁さえ超えてしまえば,もう親しい友達です。


オフ会の模様。


2次会の席で。


僕の大好きなニュージーランド産のカクテル「KGB」。
ウォッカをレモン,またはグレープフルーツジュースで割った炭酸アルコール飲料です。
残念ながら,日本では入手不可能です。

 飲み過ぎて夜遅くなり,地下鉄2号線に乗ったのはいいですが,ソウル大入口止まりの最終電車だったので,泊まっている家まで辿り着けず,仕方なくタクシーで帰宅しました。

 2005/08/11 インタビュー調査終了。

 昨日でインタビュー調査が終わったので,短期でソウル大に赴任していらっしゃる生越先生(韓国語学がご専門)と,僕の後輩にあたる交換留学生の新井くんと一緒に昼食を摂る。そして,新井くんとは時間があったので,一緒にコエックスにいき,またまた映画を一本。『かつら』というタイトルのホラー映画だったのですが,ちょっとホラーにしては中途半端な仕上がり。果たして日本で公開されるかどうかはちょっと判断できない映画でした。

 夜は稲川・金夫妻となるちゃんと一緒に,夜のカンナムへお散歩。途中の屋台でトッポッキやおでんなどをつまんで,ソウルの繁華街の雰囲気を楽しみました。東京や横浜の繁華街とは違って,ソウルの繁華街には何だか温かみというか,包容力があるんですよね,

 


お世話になった稲川・金夫妻となるちゃん。


トッポッキやおでんなどを売る屋台。
値段も2千ウォン(約220円)とお手頃。


繁華街なので,クラブやキャバクラ,風俗店も多いです。

 2005/08/12 ソウル市内を散策。

 今日が滞在の最終日になるので,ソウル市内をデジカメ片手に散策しました。8月15日のクァンボクチョル(光復節=日帝の支配から逃れた独立記念日)のための準備が行われていました。


道路沿いのポールにテグッキ(太極旗)を準備。


ソウル市庁の様子が変だと思ったら……。


光復60周年を記念して,60枚×60枚=3,600枚の太極旗で,
市庁(=日帝時代には京城府庁でした)を覆うという行事が行われていました。

 


カンナムのキョボ(教保)文庫の様子。
座って“立ち読み”する客が絶えないので,いっそベンチを設置した模様。
図書館ではないのに,平気で本の内容を写している人とかいます。

 夜は稲川・金夫妻のお宅のそばにあるノレバン(カラオケボックス)に行って,時間を潰しました。

 2005/08/13 帰国。

 何とか修士論文に使えそうなインタビュー調査の結果を得ることができたばかりか,他の面でもそれなりに充実,楽しめた滞在でした。論文を提出したら,純粋に遊びにふらりと行きたいところです。