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[住民登録番号]
今回はタイトルに反して,むしろコリアの「古い」一面を紹介することになる。今日,夕食を食堂でとりながら,学科の友人が話してくれた内容を,忘れないうちに書きとどめておきたかったからである。
住民登録番号とは。
ソウル大学への入学手続きをするときに何回も目にした「住民登録番号」。最初は日本でいう「保険証番号」みたいなものかな……と思っていたが,実はとんでもない間違いだった(非常識だった)。この番号,韓国人にとっては非常に重要な番号なのだ。実際,学科に学生証の発行の申請をしたり,寄宿舎の舎生カードを提出するときも,この「住民登録番号」を要求された。当然,外国人だからそんなものは持っていないのだが……。
では,この「住民登録番号」とは一体何か。簡単に言ってしまえば,日本の国会でも一時期議論になった「国民総背番号」のことである。韓国の国民ひとりひとりに全員異なる番号が与えられており,「住民登録証」なるカード(クレジットカード大)が全員に与えられている(外国人登録証のように常時携帯の義務はないようだ)。
住民登録番号制度導入の契機。
当然,1960年代の軍事政権,パク・ヒョンヒ時代の産物である。様々な目的でこの制度は始まったようだが,「国民の情報を一元管理する」こと,そして「共産主義者の取り締まりを容易にする(住民登録番号を持っていないヤツは北からのスパイということになる)」ことが大きな目的だったようだ。現在のキム・デジュン大統領は別に軍人ではないが,この制度,いまだ続けられている。
住民登録証を見せてもらった。
「住民登録証」がどんなものだかとても気になったので,学科の友人に見せてもらうことにした。先ほども述べたように大きさはクレジットカード大。表面にはラミネート加工が施されている。オモテ面を見ると,住民登録番号と名前,そして写真が入っている。ちなみに写真は5年に1度更新しなければならないそうだ。カードそのものは免許証や何かの会員証のようなツクリで特別変わったところもない。
しかしウラ面を見てみてちょっと驚いた。なんと「指紋」が登録されているのである。韓国は全国民に指紋登録の義務があるのだ(これも5年に1度更新)。友人は言った。「韓国政府は日本に対して,在日韓国人が外国人登録をする際の指紋押捺義務を人権違反だとしてやめさせた。なのに,国内に住む国民に対してはいまだに指紋押捺の義務がある。アイロニカルだよね」。確かにそうだ。ちなみに,(まだしていないが)僕が外国人登録をするときも両指10本の指紋を入国管理事務所で取られることになる。
実際の運用。
冒頭でも述べたように,何をするときも住民登録番号は必要になる。大学入学や携帯電話の契約の際はもちろん必要だ。この前ヨンサンでパソコン用のフォントを買ったとき,顧客登録カードに「住民登録番号」の欄があった時はその徹底ぶりに驚いた。本当に社会生活を営む上で重要な番号なのだ。
当然,情報の一元管理には弊害もある。警察は住民登録番号さえ入手できれば,その国民のすべて……出生地や在籍している学校や会社,電話番号,ひいては携帯電話で誰と話したかまで知ることができるのだ。友人の話によると,警察は数万台程度の携帯電話に関して,誰と話したのかなどについての調査をしたことがあるとのこと(調査に関する事実確認はしていません,そういう「話」があるという現実として捉えてください)。彼の言葉を借りれば,「警察に友達がいれば,彼に10万ウォンでも渡せば,自分の彼女が他の男とウワキしていないか(電話していないか)だって知ることができる」。
人権に関わってくるのでは……。
国家権力が自分の情報をすべてつかんでいる。そして第三者(警察かもしれないし,ワイロを渡した一般人かもしれない)が自分の情報を知ることができるのは,気分のいいものではなかろうと思って,「イヤな気持ちじゃないの」と質問したが,「僕らは生まれたときからだからあまり考えたことはないよ」との答えが返ってきた。確かに,毎日そんなことを気にしていたら生活できない。
「経済状態が良くない国は,人権もあまり認められていないのが一般的だ。韓国は経済状態は向上した。しかし,人権に関しては以前のままだ」と彼は話した。