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[韓国CD事情]
最近,日本の一部でも「K-POP」と称して韓国のポップミュージックが流行しているらしい。S.E.S.やBoAなど韓国歌手の日本進出も最近はたまに耳にする。僕もこっちに来てから,いわゆる「Girls Pop」を中心によく音楽をを聴いているので,ちょっと韓国のCD事情について紹介しよう。
CDの出版形態。
韓国のCDの出版形態はちょっと独特だ。まず,大前提としてシングルCDは存在しない。すべてアルバムである。また,アルバムタイトルというものも基本的には存在せず,デビューアルバムから順番に「1チプ(輯)」「2チプ」……と番号をふっていく。そのため,CDショップの入荷案内掲示には,「オムジョンファ 5」みたいに,アーティスト名と数字だけが書かれている。最近は,いわゆる「代表曲」をアルバムタイトルにしたものも増えているが,まだまだ番号で呼ぶのが一般的だ。ちなみに,ベストアルバムは「通し番号」からは除外されるようだ。また,リミックスアルバムを出す場合は「3.5チプ」のように「.5」を加えてみたり,デビュー前の録音版を発売するばあいは,「0チプ」としたりすることもある。
アーティストはそのアルバムの中で「代表曲」を1曲決め,これをテレビなどで歌うことになる。その「代表曲」が飽きられると,同じアルバムのなかから再び「代表曲」を選んで歌うこともあるようだ。そして飽きられると(悪い言い方をすれば,アルバムを利用し終わると),次のアルバム製作にとりかかる,というのがよくあるパターンだ。次のアルバム製作にとりかかるときは「休業」してしまう場合が多い。日本のアーティストは滅多に休業しないが,韓国のアーティストの場合,「アルバム発表」→「数カ月そのアルバムで売る」→「休業宣言してアルバム製作」→「新しいアルバムをひっさげてカムバック」というサイクルをたどるようである。デビューをしたもののあまり売れなかったアーティストなどは,休業宣言を出したまま二度とカムバックしなかったりするのだが。
CDは定価で12,000ウォンほど。ただ,韓国ではCDは再販制度から除外されているため,ディスカウント店に行けば9,700ウォンくらいで入手することも可能。僕もニューアルバムはヨンサン駅を出てすぐのディスカウントショップ(ウォンガン商会)で買っている。ただ,ちょっと前のアルバムの場合は,ディスカント店では在庫がほとんどなので,TOWER RECORDSやSK PLAZAなどの量販店で購入する必要がある。この場合はほとんど定価販売だ。あと,ケースのどこにも発売日が書かれていないのは,買うときに最新のアルバムがどれだか分からないのでとても困る(書いてあるのもあるが)。

僕の本棚の一部。

韓国CDをテキトーに選んで撮影してみた。左から「t」「CLEO」「パクファヨビ」。
最近の傾向。
韓国ではいわゆるK-POPのようなジャンルを「歌謡」と呼んでいる。最初知ったときはちょっとダサく感じたが,カラオケボックスで歌われることが多いことを考えると,まぁ,間違ってはいない呼び方である。
失礼かも知れないが,全般的に韓国の音楽は「粗製乱造」型といっていいだろう。もちろん,自分で作詞・作曲をしているアーティストも多いとは思うが,どちらかというと「アーティスト」と呼ぶよりは「歌手」と呼ぶ方が適当な人・グループも多い。CDジャケットの印刷はそんなに悪くない。写真やケースに凝る場合も最近は増えた。しかし,CDを聴いてみると演奏のほとんどは「いかにもコンピュータ音楽です」といった風情のものだ。歌が下手で(特にアイドル系……これはどの国でもいっしょだったか)デビュー早々消えていく場合も多いようだ。もちろん,全部のアーティストを否定しているわけではない。個人の趣味だってあるし,中には歌のうまいアーティストもいる。念のため。
僕が買っているCDはほとんどが「Girls Pop」だから韓国音楽の趨勢などについて語ることはできないが,韓国ではまだまだ「○人組のアイドル」みたいなのが健在だ。あとは,ダンスミュージック系とバラード系が半々ずつ,といった感じ。ダンスミュージックの中では,ちょっと前に流行ったテクノダンス系はあまり耳にしない気がする。
ラップ調はまだ健在。
ラップ調はまだ健在だ。1曲すべてがラップというのはまだ聴いたことがないが,歌詞の一部や,間奏部分にラップをはさんでいる曲はよく耳にする。日本語と違い,韓国語の発音にはパッチムがあったり,激音があるので,テンポよくリズムをきざむラップに韓国語は適している。
最近ヒットした「WAX」の「オッパ(女の子が年上の男の子を呼ぶときの言葉)」の歌詞には,ラップではないが「ピウプ」が多用されていて聴いているとリズムが心地よい。下は歌詞のいわゆる「1番」の部分。

日本語訳[翻訳は坂崎]
ただ気楽な気持ちがよかった いい人だと思ってた
だけどこれは何? だんだん男として思えてきて きっと好きだったんだわ
ねえ,私だけを見て 忙しい? そんなに忙しいの? 痛い,心が痛い 私の気持ち,どうして分からないの?
ねえ,その女はどうして見るの やっぱり,その女は悪い女 奪って,今,私を奪って
オレンジ色にしたのが,「ピウプ」やその濃音・激音の部分。発音のバリエーションが多い韓国語の神髄を見せつけられる(歌詞のベタさは目をつぶるとして)。
歌謡CDを買うのは贅沢?
「歌謡」を聴いている人は多いし,人気のある曲も多いのに,CDを買う人はほとんどいない。僕のように週に数枚もCDを買うことはすごい贅沢に感じられるらしい。その理由は,インターネットだ。
韓国のインターネットインフラは日本よりも進んでおり,超高速インターネット網に接続されている家庭も多い。ということは,ナップスターのようなシステムを使えばCDの曲を短時間でダウンロードできてしまうのだ。詳しいシステムまで知らないので,あまり突き詰めた話はできないが,韓国オリジナルの音楽バンク「ソリパダ(音の海の意)」を使えばだいたいの曲はダウンロードできる(この速さだったらストリーミングも可能だろう)。また,KBSなどの放送局のホームページでは,ランキングのトップ50位くらいまでの曲ならどうどうとストリーミング再生できてしまうのだ。著作権意識のまだまだ低い韓国だからできるワザであろう(芸能人の地位がまだまだ低いという要因も考えられる)。
もちろん,これらのサイトは合法だろうが(違法だったらとっくになくなってるはずだ),おそらくそのウラには多くの違法サイトがあるだろうことは,火をみるより明らかだ。新しいアルバムが発売されて2日後にはネット上で全内容をダウンロードできるとの話を聞いたことがある。そのためだろうか,CDに絵はがきを入れてみたり,CDエキストラの形でミュージックビデオを入れてみたりと,僕の見る限りではCDへの購買意欲を高めるための努力をCD製作会社側は行っているようである。また,違法コピーもよく出回るのだろう。偽造防止のためジャケットにホログラムシールを貼ってあるCDも多い。
ノレバン(カラオケボックス)もそこそこあるし,歌謡番組は人気がある。しかし,以上のことを考えると,CDって以外と売れていないのかもしれない。何か韓国人って,ジャケットとかリーフレットとかにあまりこだわらなさそうだし(偏見入っていたらごめんなさい)なぁ……。